「ねえねえ犬井くんっ、これかわいいと思うー?」
「んーそうだなあ、もうちょっとこの角度でこうして……、うん、こっちがいいと思うよお」
「きゃ〜、ありがと〜!うふふ、またねー」
「ばいばーい」
へらへら笑う横顔とひらひら振る両手。
お相手さんはほんのりほおを紅く染めて女の子らしくちびちびと小股に去っていく。
「ちっ」
これは私の舌打ちの音。
見逃さなかったわよ、ボディタッチ。
「あ……みのりん今すっごい怖い顔……」
カナミがそう言うと同時に、私に気づいた犬井駆はギョッとした顔であわててこちらへやってくる。
「みのりん…!」
「言い訳なんて聞きたくないわ」
「ち、ちがうよ、あの子前髪が命って言うから!変じゃないか確認してって言われて!下心とか狙ってとかそんなんじゃないかr……待ってぇみのりーーん!」
背を向けてズカズカと歩く私を追いかけてくる犬井駆。
なんかごちゃごちゃ言っているのを完全無視して音楽室へ入る。



