「交換条件はなくなったし、今日みたいに知らない女子にからまれるのうんざりなの」
「それはぼくも想定外だったなあ」
「私は平穏に学校生活を送りたいのよ。だから学校では必要以上に接したくない」
「わかった、みのりんがいやがることはしないよ」
「話しかけてこないでって言ってるのよ、変なうわさ流されるのもごめんだから」
「……うん、そうだよねえ……」
犬井駆は明らかに落ち込んでいて、でも私にはどうすることもできないしそもそもの発端はあんたのチャラさから起因してるんだよ。
「それじゃ。……塾、いってらっしゃい」
たとえ犬井駆でもこんなに意気消沈してるときにバイバイと突き放すのは気が引けて、せめていってらっしゃいくらいは言っておくことにしたら。
ピク、と反応してさっきのドヨーンとした空気から一変、パアッと精力がみなぎったらしく持ち前のあざとい笑顔になる。
「いやあ好きな子からのいってらっしゃいは至福だよねえ」
「さっさと行け、しっし」
「見送りありがと〜じゃあねーまた連絡するねえ」
ブンブン手をふって遠ざかっていく彼へ小さく手を上げて背を向けた。



