なんだそれ。
確かに言ったけど。
そこまで「すごぉぉぉく」を強調して言った覚えはない。
わけがわからず彼のほうを見る。
ぷく、とほおをふくらませて唇を突き出す犬井駆。
……何してんの。
うざったいくらい似合っててかわいいけどさ。
「…………もしかして嫉妬してるの?」
「んー?なんか言ったあ?」
とぼけた顔で口をとがらせる犬井駆。
どことなく罪悪感やら同情やらが入り混じって複雑な気持ちが湧いてくる。
あんたが私のこと好きって知ってるにも関わらず目の前で蜂技くんをかっこいいってほめたこと、ちょっと後悔するじゃん。
「……あんたもじゅうぶんかっこいいよ」
誰かの幸せを願って自分の幸せを後回しにするなんてそう簡単にできることじゃない。
「……、」
なんだか照れくさくなってふい、と視線を外す。
というか、これってみんなにかわいーと言いふらしてる誰かさんみたいだ。
「っそ、その!私はあんたとちがって誰にでもそういうこと言わないんだからね!?」
「……」
「ただのチャラ男だと思ってたけど意外と優しいところもあるし……その…ごめんね、チャラいって決めつけて」
チャラ男って言ったの聞かれて繊細な心を傷つけてしまったことへの謝罪も勢いで言っちゃった。
ずっと黙ってる犬井駆。なぜ。
焦ってつい早口になってしまったからちゃんと伝わったか不安になって隣をみると。
「うわあツンデレみのりんのデレのほういただきましたご褒美ですありがとうございます神様仏様みのりん様ぼくは今日ぐっすり眠れそうですおやすみなさい」



