手に持っていた窓拭き用の雑巾を力の有り余る限り握りしめて。
思いっきり歯を食いしばって腕がもげそうなほど力強く。
ガキ大将の顔面めがけて投げた
………………つもりだったのに。
「あ」
ベチャ。
「……」
「……」
しん、と静まり返る教室。
うそ、やばい、ミスった、まずい、どうしよ。
ドクドクドクドクうるさい心臓。
冷や汗がつう、とこめかみを伝う。
全員の視線の先には、ガキ大将────の、後ろで机にもたれて座っていた蜂技くん……の、前に立つ、犬井駆。
蜂技くんをかばうように立っているのだ、あの犬井駆が。
ごくり、と誰かの息を呑む音。
パタパタ、と誰が廊下を歩く音。
ひゅう、と空調と換気扇の動作音。
ドクドクドクドク。
どの環境音よりも一番うるさく感じてしまう、私の心拍音。
「くっさ」
そんな空間の沈黙を破ったのは、犬井駆。
「地味に痛いんだけど」



