え?
カケル、ノ、アネ?
「おれあいつの姉──さとみが好きなんだ、ずっと昔から」
蜂技くんをみる。
その顔はほんのり紅くて、ぎゅっと唇をかみしめて、うつむきがちに一点をみつめている。
蜂技くんが好きなのは、さとみさん。
カノジョにしたいのは、さとみさん。
私とは、付き合えない。
そう察するにはじゅうぶんすぎる。
静かに心拍が落ち着いてくる。
からだじゅうの火照りは鎮火していく。
私はフラれた。
フラれたけど、不思議なことに、そこまで悲しくなかった。
むしろ冷静で、なぜか頭の中がスッキリしてる。
ああ、そっか。
そういうことだったのか。
犬井駆が電話で言っていた、蜂技くんとお姉さんの関係は『いろいろあるから』っていうのは、これのことだったんだ。
ウソではないけど遠回しな真実。すごく巧みなことば選びで感心するよ、犬井駆め。



