電子の歌姫は今宵も言葉を紡ぐ【完】

意識を飛ばしてしまう直前にわかったのは、体が宙に浮いた感覚だった。

☆     ☆     ☆

あたま⋯⋯いたい⋯⋯。

あれ⋯⋯私、さっきまで何をしてたんだっけ⋯⋯。



「あら、目を覚ましたかしら?」

「⋯⋯ぁ⋯⋯は、い」



目が覚めると、そこにはほのかに薬品の匂いが漂っていた。

声をかけてきたのが養護教諭の先生だということを知って、さっきまで私が寝ていたのは保健室のベッドだということを理解するのに、そう時間はかからなかった。



「朝霧くんがここへ連れてきてくれたのよ。さっきまで顔が真っ青だったし、今日は一応学校をお休みしておきましょうか。お兄さんにはこちらから連絡しておくから、心配しないでね」

「ありがとう、ございます⋯⋯」



あぁ、だめだ⋯⋯また、話せなくなっちゃってる。

せっかく、アポロンのみんなのおかげで少しずつ話せているかもって思えていたのに⋯⋯っ。

私⋯⋯だめだめだ。