電子の歌姫は今宵も言葉を紡ぐ【完】

背中の方から玲香が私を呼び止めるような声が聞こえたけど⋯⋯そんなのお構いなしで私は校門へと向かっていた。

どうしよう。怖い。誰か。助けて⋯⋯っ。



「⋯⋯あれ、千星ちゃん?」

「っ、つむ、ぎ、くん⋯⋯」



これは、偶然か、必然か。神様が仕組んだのか、奇跡としか言いようが無いのか。

今だったら、もうどちらでもいい。

紡くんにだったら⋯⋯話しても、大丈夫なのかな。



「あ、のね⋯⋯っ」

「いーよ。今にも泣きそうだし⋯⋯ちゃんと聞いてあげるから、まずはこっちおいで?」



いつものようにふわふわとした喋り方ではなく、今は真剣な表情に喋り方だった。

いつもとはどこか違う紡くんの雰囲気に、思わずドキッとしてしまう。

相手が紡くんだからか安心してしまった私は、そのまま体重を紡くんに預けてしまった。



「恥ずかしいかもだけど⋯⋯我慢してね」



何をされているかもわからない。

私はパニックになりすぎてしまったのか、そのまま意識を飛ばしてしまった。

⋯⋯紡くんの前で失神するのは、これで何回目だろうか。