電子の歌姫は今宵も言葉を紡ぐ【完】

「じゃあ、このMVとインスト音源を千星に送ればいいんじゃないか? そうしたら練習もできるしすぐに録音もできるだろう」



伶衣くんがそう言ってくれて、すぐに私のスマホへ音源とMVの動画を送ってくれた。

よし、あとはこれをちゃんと聴き込んで録音するだけだっ⋯⋯!

みんなの曲への想いに応えられるよう、私も気持ちを込めて歌いたい。



「千星ちゃんはもう帰る? 確か部活には入っていなかったよね」

「はい⋯⋯! 私も早く歌いたい、ので⋯⋯失礼、しますっ」



すぐに放送室を飛び出して、家へと向かった。

その様子を見ていたアポロンのメンバーたちは全員がこう思っていた。

⋯⋯あれって、走ってるのかな⋯⋯と。

それほどに、千星にとっての全力の走りは遅く見えてしまったのであった。

☆     ☆     ☆

「ただい、ま⋯⋯っ」



すぐに制服から私服に着替えて、自分の部屋にあるゲーミングチェアに座った。

ゲームをするためのものじゃないけど、活動をするならこの椅子がいいんじゃないかって、お兄ちゃんがプレゼントしてくれたんだ。