電子の歌姫は今宵も言葉を紡ぐ【完】

「このあと⋯⋯紡くんも、何か歌うの⋯⋯?」

「そうだね〜。せっかくみんなで来たんだし、僕もいっぱい歌っちゃおっかな〜」



紡くんの歌⋯⋯まだ聞いたことが無いかも。

みんなのユニット名がアポロンだと知った日から私はアポロンの曲をたくさん聞いていた。

どの曲もボーカルには合成音声を使っていて、みんなの歌声が乗ることは一度も無かった。

確かに、自分の歌声をネットの中にアップするって、ちょっと勇気がいるよね⋯⋯。

私はお兄ちゃんに勧められたから投稿を初めてみただけだから、自分で勇気を出して投稿してみたっていうわけじゃないけど、やっぱり一番最初に投稿するときには緊張が走った。

結果的に世間から批判されることがなかったから良かったけど⋯⋯。



「紡くんの歌⋯⋯楽しみ」

「ありがとう〜。⋯⋯まあ、歌うことは得意じゃないんだけどね〜⋯⋯」

「私、だって⋯⋯話すこと、得意じゃ、ないよ。だから⋯⋯一緒、なのかも⋯⋯?」



似ているようで違うかもしれないけど、なんだか少し同じだなって思ってしまった。