電子の歌姫は今宵も言葉を紡ぐ【完】

ぼーっと寝転びながら、そう考える。

一歩を踏み出そうとしているけれど、その一歩が怖くて、どうしても歩き出せない。

誰かに変なふうに言われるかもしれない。自分の意見を否定されるかもしれない。

⋯⋯そういえば、こんなふうに思ったのは、二度目だったっけ。

一度目は、私が人見知りになって、話すことに恐怖心を抱いてしまった、あの日。

☆     ☆     ☆

あれは⋯⋯確か、小学校五年生くらいのときのこと。

今から二年前のある日の出来事だった。

小学生のころの私は活発的にいろんなことをしていて、学級委員長をしていたし、授業でも積極的に自分から発言をしていた。

自分の想いを伝えることが得意だったんだと思う。



『先生! 私、これ持っていきましょうか?』

『あら⋯⋯いいの? 音羽さん』

『はいっ。ちょうど今、教室に戻ろうとしていたので!』

『そう。じゃあ、お願いしてもいいかしら?』



あの日も、いつもと同じように先生のお手伝いをしようとしていた。

私が先生の手にあった大量のプリントを抱えると、先生は誇らしげに微笑んでくれて。