隣の席の泉宮くん(過去形)



中学二年の時、彩ちゃんと初めて同じクラスになった。

彩ちゃんはいつも一人だった。

私は人見知りで友達が多い訳ではないけど、一人ではなかった。


仲良くなったきっかけは覚えてる。

洗面台に置いてるポーチが目に入って、思わず声を掛けた。

「そのポーチ、【Mint Chocolate】の付録だよね!私も読んでて待ってる。花柄、可愛よね。」

【Mint Chocolate】はファッション雑誌で、ブランドとのコラボのポーチが付録でついてきた。

手を拭いてるハンカチには、桜の刺繍があった。


「お花、好きなんだ。」

「……うん。」

急に話し掛けて来た私に、戸惑ってる様子だった。


「あっ!苗字に桜が入ってるね。だから、……桜か。……名前も彩るって漢字だし。」

一人で納得してると、

「わたしの名前、知ってるんだ。」

と言われた。


「知ってるよ!桜森さんの名前、綺麗だもん。」

クラスメイト、全員の名前は覚えてなかった。

人の名前を覚えるのは苦手。


けど、彩ちゃんの名前は名簿で見て直ぐに覚えた。

綺麗だから、印象に残った。