病院で目が覚めた時、側には母の姿があった。
「……おかあさん、」
掠れた声が漏れた。
喉の奥が痞えて、口の中は血の味がした。
私の手を祈る様に握っていた母は、ハッとして私の顔を見ると、良かった、目が覚めたのねと、安堵の息を吐いた。
「お医者様を呼んでくるわね。」
母はそう言うと、病室を出て行った。
今、どういう状況かは分からなかった。
病院に報道陣が押し寄せて、外が騒がしいって事は分かった。
警察の人が話を聞きに来た。
マンションの防犯カメラの映像、インターホンの履歴から、私を刺した犯人は直ぐに特定された。
アリサちゃんの住むマンションに駆け付けると、自殺を図った後だった。
医療処置がされ、アリサちゃんも入院する事になった。
私は沈黙を選んだ。
口を噤んだところで、犯人はもう分かってる。
けど、どんな会話が交わされのかは当事者である、私とアリサちゃんしか知らない。
世間では色んな憶測が飛び交った。
野津くんは無期限の活動休止を発表した。



