幼稚園の頃から、お互いの家の向かい側という関係で仲良しだったはずの幼馴染、朋美。小さい頃から、全体的に鋭い雰囲気で他人をむやみに寄せ付けない。
私は昔から、あの明るくて大人らしい凛とした茶髪のショートヘアーを羨ましく思っていた。
小学生の頃はその風貌で、平穏を一番に望む他の女子たちから敬遠されていた。だから、ニ人で固まって、一緒に浮いていた。
それで良かった。それだけで、良かったのに。
そして、高校から関わるようになった、普段は軽々しい雰囲気を身にまとってチャラくさいのに、なぜか合唱のことになると真面目になる河原陸と、ふにゃっとした顔でよく笑う犬っぽく、アッシュブラウンに勝手に染めて怒られたまま直していないマッシュショートヘアーの井原那月。
二人はいつも、金魚のフンのように朋美の後ろにくっついている。スクールカーストでいう一軍である朋美のステータスだけを、自身の唯一の心の拠り所にしているような、残念な奴ら。心底、くだらなすぎて。
私とこの三人は、中学時代の実績を買われ、高校入学時から芝学の有力合唱部員として「エース組」と呼ばれていた。
今は――あの三人だけが、エース組。
≪芝学≫の愛称で親しまれているこの高校は、他校・地域住民たちから、別名「音楽の芝学」と呼ばれている。毎年のように吹奏楽や合唱、箏曲といった音楽系部活が、全国大会に勝ち進むほどの強豪校だから。
かつてはその三部とも、学校の「強化指定部」だった。
でも、高校一年の冬、私が事故に遭った日。
合唱部が大会を棄権したのをきっかけに、合唱部のみ、その名を外された。
朋美や陸、那月の三人以外は、棄権に賛成したらしい。三人だけは――違った。
自身の成績と将来の進路を考えて、強化指定部の有力部員「エース組」としての実績を重視していた。だから、大会を棄権するきっかけになった私を憎んでいるのか、無視し始めるようになった。
朋美に「あんたがいなければ、芝学は全国まで行けたはずなのに!」と泣き叫ばれた日を境に、私と朋美の関係性は音を立てる間もなく、すぐに壊れた。
それからだった、この悪夢が始まったのは。

