目覚めたら、最推しの腕の中でした~1度終わった私の人生、もう一度恋をしました。~

ASTERの。

四人に会う日。

私は。

朝から。

服を。

三回。

着替えた。

「……違う」

鏡を見る。

着替える。

「これも」

違う。

また。

着替える。

「何着ればいいの……」

仕事なら。

スタイリストさんがいる。

一ノ瀬紗良として。

芸能人に会うだけなら。

こんなに。

悩まない。

でも。

今日は。

違う。

私は。

天城陽向の。

婚約者として。

ASTERに。

会う。

しかも。

そのASTERは。

私が。

十年以上。

テレビの向こうから。

見てきた人たち。

「……無理」

結局。

陽向へ。

メッセージを送った。

『何着ていけばいい?』

すぐ。

返事。

『服』

「……」

私は。

画面を。

睨んだ。

『それは分かってる』

『何でもいいよ』

『何でもよくない』

『美月なら何着ても可愛い』

「そういうことじゃない!」

思わず。

声に出る。

すると。

電話が。

かかってきた。

「何?」

『怒ってる?』

「怒ってない」

『怒ってるじゃん』

「だって」

私は。

ベッドに。

並べた服を見る。

「ASTERに」

「会うんだよ?」

『うん』

「陽向の」

顔が。

熱くなる。

「婚約者として」

電話の向こう。

一瞬。

静か。

そして。

『もう一回言って』

「切るよ」

『ごめん!』

私は。

ため息。

「本当に」

「何着ればいい?」

陽向が。

少し考える。

『美月が』

『いつも着てるのでいいよ』

「でも」

『今日』

声が。

少し優しくなる。

『一ノ瀬紗良として』

『仕事しに来るわけじゃないでしょ』

「……」

『俺が好きな人を』

『みんなに紹介するだけ』

胸が。

少し。

落ち着いた。

「……そっか」

『うん』

「じゃあ」

私は。

並べた中から。

一番。

自分らしいと思える。

シンプルな。

ワンピースを取った。

「これにする」

『見えない』

「知ってる」

◇◇◇

約束の場所は。

ASTERが。

よく使っている。

事務所の。

小さな会議室。

一般の人が。

入ってこない。

安全な場所。

廊下を。

陽向と並んで。

歩く。

「……」

「……」

「美月」

「何?」

「さっきから」

「右手と右足」

「一緒に出そう」

「出てない!」

「出てる」

「見ないで!」

陽向が。

笑う。

「そんな緊張する?」

私は。

立ち止まった。

「するよ!」

「だって」

「陽向は!」

指差す。

「もう」

「私の中では」

「陽向なの!」

「うん」

「でも」

会議室の。

扉を見る。

「中にいる人たちは」

声が。

小さくなる。

「ASTERなの!」

「俺もASTERだけど?」

「そういう意味じゃない!」

陽向。

大笑い。

「美月」

「何?」

「大丈夫」

「……」

「俺」

陽向が。

私の手を。

一瞬だけ。

握る。

「隣いるから」

胸が。

少し。

落ち着く。

「……絶対?」

「絶対」

「途中で」

「トイレとか」

「行かないでね」

「そこまで!?」

「今は!」

「分かった分かった」

そして。

陽向が。

ドアノブへ。

手をかける。

「行くよ」

「待って」

「何?」

「やっぱり」

「帰」

ガチャ。

「開けた!」

「遅い!」

◇◇◇

「来た」

「おー」

「どうぞ」

中には。

四人。

全員。

いた。

「……」

私は。

完全に。

固まった。

テレビ。

雑誌。

ライブ。

何度も。

見てきた。

ASTER。

しかも。

近い。

近すぎる。

「美月?」

隣で。

陽向が。

小声。

私は。

慌てて。

頭を下げた。

「は、初めまして!」

「初めまして」

一人が。

笑う。

「一ノ瀬紗良さんとは」

「何度か現場で」

「あ」

そうだった。

身体としては。

初対面じゃない人もいる。

でも。

私には。

ほぼ。

初対面。

「そうですよね」

「……」

「すみません」

「何が?」

もう。

訳が分からない。

陽向が。

横で。

笑いを。

堪えている。

「陽向」

「何?」

「笑わないで」

「まだ笑ってない」

「顔が笑ってる」

メンバーの一人が。

面白そうに。

私を見る。

「本当に」

「陽向の前だと」

「雰囲気違うね」

「え?」

「現場で会ったとき」

「もっと」

「こう」

手で。

空気を。

表現しながら。

「シュッとしてた」

「ああ……」

一ノ瀬紗良。

だったころ。

「今」

「めちゃくちゃ」

別の人が。

笑う。

「普通に緊張してる」

「……」

顔が。

熱い。

「すみません」

また。

謝った。

その瞬間。

四人のうち。

一人が。

にやっとする。

「それ」

「陽向から聞いた」

「え?」

「すぐ謝るって」

「……陽向」

私は。

ゆっくり。

隣を見る。

「何を」

「話したの?」

「ちょっとだけ!」

「ちょっと?」

「美月のこと」

「全部じゃない!」

「どこまで!?」

一気に。

いつもの。

調子になる。

四人が。

笑った。

「ああ」

一人が。

頷く。

「この感じか」

「何が!?」

「陽向が」

「めちゃくちゃ」

「楽しそうに話してた理由」

「……」

陽向の顔が。

赤くなる。

「やめろって!」

私は。

逆に。

固まる。

「陽向が」

「私のこと」

「話してたんですか?」

「めっちゃ」

「おい!」

「美月が」

「美月が」

「美月が」

「って」

「やめろおおお!」

陽向が。

止めに入る。

私は。

口元を。

押さえた。

嬉しい。

でも。

恥ずかしい。

そして。

ここで。

事件は。

起きた。

◇◇◇

メンバーの一人が。

私に。

聞いた。

「陽向の」

「どこが好きなんですか?」

「え?」

頭。

真っ白。

陽向が。

横で。

「おい!」

と。

止める。

でも。

もう。

質問は。

耳に入った。

どこが。

好き?

ずっと。

テレビで。

応援していた頃なら。

明るいところ。

笑顔。

大きなリアクション。

アニメやゲームを。

楽しそうに。

話すところ。

全部。

すぐ。

答えられた。

でも。

今は。

もっと。

いっぱい。

知っている。

弱いところ。

無理して。

笑うところ。

嫉妬するところ。

疲れたって。

言えるようになったところ。

私を。

高瀬美月として。

見つけてくれたところ。

子どもたちを。

大切にしてくれるところ。

「……全部です」

口から。

出た。

「……」

全員。

止まる。

陽向も。

止まる。

私は。

自分の発言に。

気づく。

「……あ」

終わった。

「いや!」

慌てる。

「全部って」

「そういう!」

「どのそういう?」

「えっと!」

顔が。

熱い。

「アイドルとしても!」

「……」

「男性としても!」

「……」

「婚約者としても!」

言った。

言ってしまった。

しん。

会って。

おそらく。

三十秒ちょっと。

私は。

長年見てきた。

推したちの前で。

「婚約者としても好きです」

と。

宣言した。

「……」

陽向が。

両手で。

顔を覆った。

「美月……」

「ごめん!」

「いや」

肩が。

震えている。

「俺は嬉しい」

「笑ってるよね!?」

「めっちゃ嬉しい!」

そして。

四人が。

一斉に。

笑い出した。

「本当にファンじゃん!」

「陽向より反応面白い!」

「婚約者としても!」

「やめてください!」

私は。

顔を。

覆った。

「帰りたい……」

「まだ来たばっか!」

陽向が。

大笑いする。

予告通り。

私は。

会って早々。

とんでもないことを。

口走った。

◇◇◇

でも。

その失敗のおかげか。

不思議なくらい。

緊張は。

少し。

なくなった。

「じゃあ」

一人が。

飲み物を。

渡してくれる。

「改めて」

「座りましょうか」

「はい……」

私は。

陽向の隣。

宣言通り。

陽向は。

ちゃんと。

隣にいてくれる。

「陽向から」

一人が。

言った。

「結婚するって」

「聞きました」

「……はい」

「おめでとうございます」

「ありがとうございます」

今度は。

ちゃんと。

言えた。

「ただ」

少し。

真面目な顔。

「俺たちも」

「心配はしてます」

私は。

頷いた。

「はい」

「熱愛報道も」

「出たばかりだし」

「うん」

「陽向は」

「ASTERとして」

「今」

「かなり大事な時期だから」

「はい」

陽向が。

横から。

口を挟もうとする。

でも。

私は。

その手を。

少し。

触って。

止めた。

私に。

聞かれている。

私が。

答えたい。

「私も」

「怖いです」

四人が。

静かに。

聞く。

「陽向と」

「付き合うことで」

「陽向の仕事に」

「影響が出たら」

「どうしようって」

「……」

「今でも」

「思います」

陽向が。

少し。

私を見る。

「一度」

私は。

苦笑する。

「別れたほうが」

「いいんじゃないかって」

「言ったこともあります」

「美月」

「うん」

「でも」

私は。

続けた。

「怒られました」

四人が。

陽向を見る。

「珍しい」

「いや」

陽向が。

慌てる。

「怒ったっていうか!」

「結構怒ってた」

「美月!」

少し。

笑い。

そして。

私は。

もう一度。

真面目に。

四人を見る。

「そのとき」

「言われました」

「俺のためって言って」

「俺が一番嫌なことを」

「一人で決めるなって」

「……」

「それで」

「私も」

「分かったんです」

「陽向のために」

「私が勝手に」

「陽向の人生を」

「決めちゃいけない」

「……」

「だから」

胸に。

手を置く。

「今は」

「怖いことも」

「心配なことも」

「ちゃんと」

「二人で考えたいと思っています」

四人が。

少し。

顔を見合わせる。

そして。

一人が。

陽向を見る。

「同じこと」

「言ってたな」

「え?」

「陽向も」

「一人で決めずに」

「みんなで考えたいって」

「……」

私は。

隣の。

陽向を見る。

陽向も。

私を見る。

少し。

照れくさくて。

二人。

笑った。

◇◇◇

「美月さん」

今度は。

別のメンバー。

「はい」

「一個」

「聞いていい?」

「はい」

「陽向と」

「結婚したら」

「仕事」

「どうするつもり?」

私は。

迷わなかった。

「続けたいです」

陽向が。

隣で。

嬉しそうに。

笑う。

「主演ドラマも」

「決まりました」

「うん」

「これから」

「もっと」

「女優として」

「やってみたいことも」

「増えてきて」

「……」

「結婚したから」

「辞めるということは」

「考えていません」

「そっか」

「はい」

「じゃあ」

もう一人。

「陽向に」

「家庭に入ってほしいとか」

「言われたら?」

「言わない!」

陽向が。

先に。

叫んだ。

全員が。

笑う。

私は。

陽向を見る。

「言わないよね?」

「言わない!」

「よかった」

「そこ確認する!?」

また。

笑い。

でも。

私は。

少し。

真剣に。

続けた。

「私」

「一度目の人生で」

そこまで。

言って。

止まる。

一度目の人生。

この人たちは。

まだ。

知らない。

私は。

言い方を。

変える。

「昔」

「自分が」

「何をしたいかより」

「周りが」

「どうしたいかを」

「優先して」

「生きていた時期が」

「長かったんです」

「……」

「だから」

「今度は」

「陽向と結婚しても」

「陽向のためだけに」

「自分を」

「なくしたくない」

陽向の。

手が。

私の手へ。

少し。

触れる。

人前。

だから。

握らない。

でも。

そこにいる。

「陽向も」

「それでいいって」

「言ってくれています」

「うん」

陽向が。

頷く。

一人が。

少し。

笑った。

「なるほど」

「何ですか?」

「陽向が」

「変わった理由」

「え?」

「分かった気する」

私は。

目を丸くする。

「陽向」

その人が。

言う。

「昔」

「自分がやりたいこと」

「全力で」

「みんな巻き込むタイプだったんですよ」

「ちょっと!」

「でも今」

「美月さんが」

「どうしたいか」

「めちゃくちゃ」

「聞くでしょ」

「……」

私は。

思わず。

笑った。

「聞きます」

「やっぱり」

「何でも」

「美月はどうしたい?」

「って」

「言います」

陽向が。

少し。

照れている。

「だって」

「大事じゃん」

「うん」

私は。

その横顔を。

見た。

「すごく」

「助けられてます」

また。

陽向が。

固まる。

「美月」

「何?」

「今日」

「急に」

「俺を褒めすぎ」

「事実だから」

「……」

「無理」

顔を。

覆った。

四人が。

笑う。

◇◇◇

しばらくして。

一番。

慎重そうに。

話していたメンバーが。

私へ。

聞いた。

「……陽向のこと」

「はい」

「本当に」

「好きなんですね」

その質問。

さっきなら。

また。

恥ずかしく。

なったかもしれない。

でも。

今度は。

ちゃんと。

答えられた。

「はい」

私は。

笑う。

「大好きです」

陽向が。

隣で。

また。

固まる。

「……」

「陽向?」

「今日」

「俺」

「死ぬかもしれない」

「何で?」

「幸せすぎて」

「大げさ」

「大げさじゃない!」

「うるさい」

いつもの。

私たち。

すると。

そのメンバーが。

ふっと。

笑った。

「じゃあ」

「俺も」

「応援します」

「……」

私が。

顔を上げる。

「いいんですか?」

「心配は」

「まだ」

「あります」

「はい」

「仕事も」

「ファンも」

「ASTERも」

「大事です」

「……はい」

「でも」

陽向を見る。

「こいつも」

「大事なんで」

胸が。

温かくなる。

「陽向が」

「この人と」

「生きたいって」

「本気で思ってるなら」

「……」

「その方法を」

「俺たちも」

「一緒に考えます」

陽向が。

少し。

目を。

赤くした。

「……ありがとう」

「泣くなよ」

「泣いてない!」

「最近よく泣くじゃん」

「美月のせい!」

「私!?」

「幸せで泣かされる!」

「知らないよ!」

みんなが。

笑う。

私は。

その笑い声を。

聞きながら。

思った。

ああ。

陽向は。

この人たちと。

ずっと。

生きてきたんだ。

血の繋がった。

家族とは。

違う。

でも。

きっと。

家族みたいな。

大切な人たち。

そんな人たちに。

私を。

会わせてくれた。

それが。

嬉しかった。

◇◇◇

話が。

落ち着いたころ。

突然。

一人が。

言った。

「じゃあ」

「何ですか?」

「美月さん」

「本当に」

「ASTERのファンなんですよね?」

「……」

来た。

できれば。

触れずに。

終わりたかった。

「はい」

「どれくらい?」

陽向が。

にやっとする。

「十年以上」

「陽向!」

「いいじゃん」

「誰推し?」

また。

その質問。

「……」

全員。

私を見る。

逃げられない。

私は。

小さく。

答えた。

「陽向です」

「うわあ!」

「本人いる前で!」

「すご!」

「推しと結婚!」

陽向が。

得意そうに。

胸を張る。

「ほら!」

「何がほらなの!」

「俺」

「昔から」

「美月のタイプだった」

「やめて!」

もう。

恥ずかしすぎる。

すると。

一人が。

さらに。

聞く。

「じゃあ」

「昔の陽向と」

「今の陽向」

「どっちが好き?」

「え?」

意地悪。

でも。

答えは。

簡単だった。

「今」

陽向が。

止まる。

「え」

「今の陽向」

「……」

「アイドルの陽向も」

「ずっと好きだったけど」

私は。

隣を見る。

「今は」

「テレビでは」

「見えないところも」

「知ってるから」

「……」

「今のほうが」

「好きです」

「……」

陽向。

また。

両手で。

顔を覆った。

「もう無理」

「今日何回目?」

「美月が!」

「何?」

「俺のこと」

「好きすぎる!」

「言わせたの」

「そっちでしょ!」

四人が。

大爆笑。

◇◇◇

帰り。

事務所の。

廊下。

私は。

陽向の隣を。

歩いていた。

「……疲れた」

「お疲れ」

「すごく」

「緊張した」

「うん」

「でも」

私は。

少し笑う。

「楽しかった」

陽向の顔が。

ぱっと。

明るくなる。

「本当?」

「うん」

「よかった」

「それに」

「何?」

「ちょっと」

「安心した」

「何が?」

「陽向」

私は。

歩きながら。

言う。

「大事にされてるんだね」

陽向が。

少し。

目を丸くする。

「みんな」

「仕事のこと」

「グループのこと」

「心配してたけど」

「……」

「それって」

「陽向のことも」

「ASTERのことも」

「大事だからでしょ?」

「……うん」

「いい仲間だね」

陽向が。

少し。

照れくさそうに。

笑う。

「うん」

「俺」

「ASTER好き」

「知ってる」

「美月も?」

「好き」

「俺が一番?」

「まだ言う?」

「大事」

私は。

笑った。

「陽向が一番」

「よっしゃ!」

「声!」

「ごめん!」

◇◇◇

エレベーターの中。

二人きり。

陽向が。

そっと。

私の手を。

握った。

「美月」

「何?」

「今日」

「来てくれて」

「ありがとう」

「うん」

「俺」

「結婚って」

「美月と俺だけのことだと」

「思ってた部分もあった」

「うん」

「でも」

「子どもたちも」

「旦那さんも」

「ASTERも」

「事務所も」

「ファンも」

「……」

「いろんな人の」

「人生に」

「ちょっとずつ」

「関わるんだな」

「うん」

「だから」

私を見る。

「ちゃんと」

「一個ずつ」

「話したい」

「……うん」

「逃げない」

「うん」

「でも」

陽向が。

私の手を。

少し。

強く握る。

「誰かのために」

「美月との結婚」

「なかったことには」

「しない」

胸が。

温かくなる。

「私も」

「……」

「陽向のためって」

「勝手に」

「いなくならない」

陽向が。

笑う。

「約束」

「うん」

エレベーターが。

一階へ。

着く。

ドアが。

開く。

でも。

私たちには。

まだ。

一番。

大きな相手が。

残っている。

それは。

陽向を。

ずっと。

応援してきた。

何万人。

何十万人もの。

ファン。

◇◇◇

その日の夜。

ASTERの。

マネージャーから。

陽向へ。

連絡が入った。

『メンバーとは話せたな』

『はい』

『全員からも聞いた』

『……はい』

そして。

次。

『じゃあ今度は』

少し。

間。

『公表するかどうか』

『具体的に考えるぞ』

陽向の。

指が。

止まった。

同じころ。

私の事務所にも。

連絡が。

入っていた。

『一ノ瀬さん』

『天城さんとの件ですが』

『結婚まで進むのであれば』

胸が。

高鳴る。

『熱愛報道への対応を』

『もう一度』

『二人の事務所で』

『話し合う必要があります』

私は。

左手の。

薬指を見る。

家の中だけで。

輝いている。

婚約指輪。

これを。

いつか。

外でも。

堂々と。

つけられる日は。

来るのだろうか。

私は。

もう。

隠れるために。

陽向と。

結婚するんじゃない。

でも。

公表するということは。

陽向の。

アイドル人生そのものと。

向き合うこと。

そして。

その先には。

きっと。

一番。

怖くて。

一番。

大切な人たちがいる。

――陽向を愛してきた。

――ファンの人たち。

私たちは。

とうとう。

その人たちへ。

未来を。

どう伝えるのか。

決めるときが。

近づいていた。