目覚めたら、最推しの腕の中でした~1度終わった私の人生、もう一度恋をしました。~

プロポーズされた。

翌朝。

目を覚まして。

最初にしたことは。

左手を。

見ることだった。

「……ある」

薬指。

昨日と同じ。

小さく。

指輪が光っている。

夢じゃない。

私は。

天城陽向に。

プロポーズされて。

はい。

って。

答えた。

「……婚約者」

口にすると。

まだ。

ものすごく。

恥ずかしい。

でも。

嬉しい。

私は。

布団の中で。

一人。

にやけた。

その瞬間。

スマートフォンが。

震えた。

陽向。

『おはよう、婚約者さん』

「……絶対これ」

「しばらく言うな」

私は。

笑いながら。

返す。

『おはよう』

すぐに。

『指輪ある?』

『あるよ』

『よかった』

『なくなると思ったの?』

少しして。

『昨日が幸せすぎて、俺も夢だった気してる』

胸が。

きゅっと。

鳴る。

『夢じゃないよ』

送ると。

今度は。

少し。

返事が遅かった。

『うん』

そして。

『今日も好き』

「朝から重い」

そう。

呟きながら。

私の顔は。

完全に。

笑っていた。

◇◇◇

でも。

幸せだけに。

浸っているわけにも。

いかない。

結婚する。

そう。

決めたなら。

話さなければならない人がいる。

子どもたち。

そして。

前の夫。

陽向は。

「急がなくていい」

と。

言ってくれた。

でも。

私は。

隠したくなかった。

特に。

子どもたちには。

私の人生が。

また。

勝手に変わっていくように。

感じてほしくない。

私は。

スマートフォンを握った。

最初に。

星へ。

電話をする。

『もしもし?』

「星」

『何?』

声が。

すでに。

楽しそう。

絶対。

昨日から。

ニヤニヤしてる。

「今度」

『うん』

「みんなに」

少し。

緊張する。

「ちゃんと」

「結婚のこと」

「話したい」

電話の向こう。

星が。

少し。

静かになった。

『……うん』

「いいかな」

『何で私に聞くの?』

「え?」

『ママが』

星が。

優しく言う。

『話したいんでしょ?』

「……うん」

『じゃあ』

『話したらいいじゃん』

胸が。

温かくなる。

「でも」

『また始まった』

「何が?」

『みんなが嫌だったらどうしよう』

『とか』

『思ってるでしょ』

「……」

図星。

『ママ』

「何?」

『結婚するの』

『やめたい?』

私は。

すぐに。

答えた。

「やめたくない」

『じゃあ』

少し。

笑う声。

『それを』

『ちゃんと言えばいいよ』

「……うん」

『私もいるから』

「ありがとう」

『ただし』

「何?」

星が。

急に。

声を弾ませる。

『指輪』

『みんなに見せるとき』

『私が選んだって』

『ちゃんと言ってね』

「そこ!?」

『大事!』

私は。

声を上げて。

笑った。

◇◇◇

数日後。

また。

子どもたちと。

会う日。

今回は。

陽向はいない。

私と。

五人の子どもたち。

そして。

前の夫。

レンタルスペースへ。

着いた瞬間。

一番小さい子が。

飛んでくる。

「ママ!」

「はい」

ぎゅっ。

と。

抱きつかれる。

もう。

美月。

ではなく。

自然に。

ママ。

それだけで。

今でも。

胸が。

いっぱいになる。

「今日ゲームする?」

「するけど」

「今日は」

「その前に」

「みんなに」

「話がある」

その瞬間。

少し上の子が。

眉を寄せる。

「怒られる?」

「違う」

「じゃあ何?」

「大事な話」

一番小さい子が。

私の顔を見て。

「ゲームより?」

「ゲームより」

「えー」

そこは。

納得して。

◇◇◇

みんなが。

座る。

私は。

その前。

少し。

緊張した。

星だけが。

内容を。

知っている。

前の夫も。

まだ。

知らない。

「……」

夫が。

私を見る。

「何?」

「いや」

「そんな改まって」

「どうしたんかと思って」

「うん」

私は。

膝の上で。

左手を。

握った。

仕事では。

指輪を。

外している。

今日も。

ここへ来るまでは。

外していた。

でも。

今。

ポケットの。

小さなケースに。

入っている。

「ママね」

子どもたちを見る。

「みんなに」

「聞いてほしいことがある」

静かになる。

「前に」

「陽向と」

「お付き合いしてるって」

「話したでしょ?」

何人かが。

頷く。

一番小さい子が。

「あ!」

と。

声を上げる。

「ゲームうまいひと!」

「そう」

基準。

そこなんだ。

「陽向が」

私は。

少し。

息を吸う。

「ママに」

「結婚してくださいって」

「言ってくれた」

「……」

しん。

と。

静まった。

そして。

「え?」

「結婚?」

「ママが?」

「陽向くんと?」

一気に。

声が。

重なる。

「うん」

私は。

頷く。

「それで」

胸に。

手を当てる。

「ママも」

「結婚したいって」

「答えた」

夫の顔が。

少しだけ。

変わった。

でも。

何も。

言わない。

子どもたちも。

それぞれ。

違う顔。

驚いている子。

星みたいに。

嬉しそうな子。

そして。

少し。

複雑そうな子。

私は。

急がない。

返事を。

待った。

◇◇◇

最初に。

口を開いたのは。

以前。

私に。

「嫌い」と。

言った子だった。

「……ママ」

「うん」

「結婚したら」

少し。

眉を寄せる。

「もう」

胸が。

きゅっとなる。

「僕らのママじゃ」

「なくなる?」

「……」

私は。

すぐに。

首を振った。

「ならない」

「ほんま?」

「うん」

その子の。

目を見る。

「結婚しても」

「ママは」

「みんなのママ」

「……」

「そこは」

「何も変わらない」

「でも」

別の子が。

聞く。

「陽向くんと」

「一緒に住むんやろ?」

「たぶん」

「じゃあ」

「僕らと」

「もっと会えんくなる?」

胸が。

痛い。

でも。

大丈夫と。

決めつけない。

「それは」

私は。

正直に答える。

「まだ」

「ちゃんと決めてない」

「……」

「どこに住むかも」

「いつ結婚するかも」

「仕事をどうするかも」

「まだ」

「陽向と」

「話してる途中」

「……」

「でも」

私は。

みんなを見る。

「みんなと」

「会える時間を」

「なくす結婚には」

「したくない」

「……」

「ママが」

「陽向と家族になるために」

「みんなとの家族を」

「やめることは」

「絶対ないよ」

その言葉。

自分で。

言いながら。

胸の中に。

すっと。

入ってきた。

そう。

私は。

何かを。

捨てるために。

結婚するんじゃない。

◇◇◇

すると。

一番小さい子が。

突然。

聞いた。

「けっこんしたら」

「うん?」

「ひなたが」

少し。

考える。

「パパになる?」

部屋の空気が。

止まった。

夫も。

私も。

星も。

一瞬。

固まる。

難しい。

でも。

答えは。

はっきりしている。

「ならないよ」

一番小さい子が。

首を傾げる。

「なんで?」

「だって」

私は。

夫を見る。

それから。

子どもを見る。

「あなたたちのパパは」

「パパだから」

夫の目が。

少し。

揺れた。

「陽向は」

私は。

少し考える。

「ママの」

「大切な人」

「……」

「結婚したら」

「ママの家族にはなる」

「うん」

「でも」

「パパの代わりには」

「ならない」

一番小さい子は。

少し。

考える。

「じゃあ」

「ひなたは」

「ひなた?」

思わず。

笑ってしまう。

「うん」

「陽向は陽向」

「そっか」

それだけで。

納得したらしい。

「じゃあいい」

軽い。

でも。

その単純さが。

ありがたかった。

◇◇◇

一方。

少し大きい子は。

まだ。

難しい顔をしていた。

「……嫌?」

私は。

聞いた。

その子は。

一瞬。

驚いた顔。

「嫌って」

「言ってもいい?」

「うん」

「ママが」

「結婚するの」

「嫌だったら」

「言っていい」

「……」

「でも」

私は。

続ける。

「嫌って言われたから」

「絶対やめるって」

「約束は」

「できない」

子どもの目が。

少し。

大きくなる。

昔の私なら。

きっと。

言えなかった。

でも。

大事なのは。

何でも。

子どもの希望通りに。

することじゃない。

気持ちを。

聞くこと。

そして。

私の気持ちも。

伝えること。

「ママは」

「陽向が好き」

「……」

「結婚したいって」

「思ってる」

「……」

「でも」

「あなたが」

「寂しいとか」

「嫌だとか」

「思うなら」

胸へ。

手を当てる。

「それも」

「ちゃんと知りたい」

その子は。

しばらく。

黙っていた。

そして。

「……嫌っていうか」

「うん」

「変」

「変?」

「ママが」

少し。

言いにくそうに。

夫を見る。

「パパじゃない人と」

「結婚するの」

「……」

私は。

頷いた。

「そうだよね」

「うん」

「だって」

「前は」

「パパとママやったやん」

「うん」

「なのに」

「今」

「ママだけ」

「違う顔で」

「陽向くんと」

「結婚するって」

「……」

「意味分からん」

「うん」

私は。

少し笑った。

「ママも」

「たまに」

「意味分からない」

一瞬。

その子が。

笑いそうになる。

「でも」

私は。

続ける。

「パパと」

「家族だったことは」

「なくならない」

「……」

「ママ」

「パパのこと」

「嫌いになったから」

「全部捨てて」

「陽向と結婚するわけじゃない」

夫が。

静かに。

私を見る。

「パパは」

「今でも」

「みんなの大切なパパ」

「うん」

「ママにとっても」

一度。

言葉を。

選ぶ。

「大切な」

「一度目の人生の」

「家族だった人」

「……」

「でも」

私は。

笑った。

「これから」

「恋人として」

「一緒に生きたいのは」

「陽向」

その子は。

黙って。

聞いていた。

そして。

小さく。

「そっか」

と。

言った。

それだけ。

でも。

十分だった。

◇◇◇

「で!」

突然。

星が。

声を上げた。

「ママ」

「何?」

「指輪」

「……」

来た。

「見せないの?」

みんなの。

視線。

一気に。

私の左手へ。

「今」

「してないやん」

「仕事あるから」

「持ってきてる?」

星。

絶対。

楽しんでる。

「……持ってきてる」

「見たい!」

一人が。

言う。

すると。

「ぼくも!」

「私も!」

だんだん。

声が増える。

私は。

少し。

恥ずかしくなりながら。

小さなケースを。

取り出した。

「これ」

開く。

リング。

一瞬。

子どもたちが。

静かになる。

「きれい」

誰かが。

呟く。

「これ」

星が。

自慢げに。

胸を張る。

「私も選んだ」

「やっぱり言うんだ」

「大事だから」

一番小さい子が。

指輪を。

じっと見る。

「ママ」

「何?」

「つけて」

「今?」

「うん」

私は。

少し迷って。

でも。

左手を。

差し出した。

自分で。

指輪を。

薬指へ。

通す。

すると。

一番小さい子が。

ぱっと。

笑った。

「おひめさまみたい!」

「……」

私。

三十四歳。

五児の母。

でも。

その言葉。

ちょっと。

嬉しい。

「ありがとう」

星が。

笑う。

「ママ」

「顔赤いよ」

「うるさい」

◇◇◇

しばらくして。

子どもたちは。

ゲームへ。

移った。

私は。

少し。

離れたところにいた。

夫の隣へ。

座る。

「……ごめん」

言いそうになって。

止める。

違う。

「聞いてくれて」

「ありがとう」

夫が。

少し。

笑う。

「また」

「謝るかと思った」

「私も」

「危なかった」

二人で。

小さく。

笑う。

でも。

そのあと。

少し。

沈黙。

「……どう思った?」

私は。

聞いた。

夫は。

ゲームをする。

子どもたちを見る。

「正直?」

「うん」

「ちょっと」

「……」

「寂しかった」

私は。

何も言わない。

「お前」

「死んだと思っとったし」

「うん」

「戻ってきたと思ったら」

「別の人好きで」

「うん」

「今度は」

「結婚するって」

「……」

「頭」

「追いつかん」

「うん」

夫が。

少し。

苦笑する。

「でも」

「前にも」

「言ったけど」

私を見る。

「俺が」

「止めることでも」

「ないんやろ」

「……うん」

「それに」

陽向が。

いない部屋。

でも。

前に。

会ったときのことを。

思い出しているのか。

夫が。

続ける。

「あの人」

「子どもらの父親に」

「なろうとしてなかった」

「うん」

「そこは」

「ありがたかった」

胸が。

少し。

温かくなる。

「陽向も」

「そこ」

「すごく気にしてた」

「そっか」

「うん」

夫は。

少し。

考えて。

言った。

「じゃあ」

「一個だけ」

「何?」

「結婚しても」

真面目な目。

「子どもらのことで」

「必要なことは」

「ちゃんと」

「話せるようにしといて」

「……うん」

「陽向に」

「遠慮して」

「こっちと」

「連絡取れんとか」

「それは」

「困る」

私は。

迷わず。

頷いた。

「それは」

「私も」

「絶対」

「嫌」

「うん」

「子どもたちのことは」

「これからも」

「一緒に考えたい」

夫が。

少し。

安心したように。

頷いた。

「なら」

少し。

間。

「おめでとう」

胸が。

止まった。

「……え?」

「何」

「いや」

「言ってくれると」

「思わなかった」

「失礼やな」

夫が。

苦笑する。

「俺も」

「複雑ではある」

「……うん」

「でも」

子どもたちを見る。

「お前」

「前より」

「笑っとるし」

胸が。

揺れる。

「……そっか」

「うん」

「なら」

夫が。

小さく笑う。

「ええんちゃう」

涙が。

少し。

滲んだ。

「ありがとう」

今度は。

ちゃんと。

言えた。

◇◇◇

帰宅後。

私は。

陽向へ。

電話をした。

『どうだった!?』

出た瞬間。

いきなり。

大声。

「早い」

『いや』

『今日だろ!?』

「うん」

『みんなに言った?』

「言った」

『反応は!?』

「尋問?」

『気になる!』

私は。

ソファに。

座る。

「驚いてた」

『うん』

「ちょっと」

「複雑そうな子も」

「いた」

電話の向こう。

陽向が。

少し。

静かになる。

『そっか』

「でも」

「ちゃんと」

「話せたよ」

『うん』

「結婚しても」

「ママは」

「ママのままって」

『うん』

「陽向は」

「パパの代わりには」

「ならないって」

『……うん』

陽向の声が。

優しくなる。

『それでいい』

「あと」

私は。

少し。

笑う。

「一番下」

『何?』

「陽向のこと」

「陽向は陽向でいいって」

『……』

「ゲームする人だし」

『またそこ!?』

思わず。

笑う。

「でも」

「認めてもらってるじゃん」

『ゲーム友達としてね!』

「十分」

◇◇◇

「それと」

私は。

少し。

緊張した。

『何?』

「前の夫にも」

『……うん』

「ちゃんと」

「話した」

電話の向こう。

少し。

間。

『どうだった?』

「複雑って」

『うん』

「でも」

私は。

小さく笑う。

「おめでとうって」

「言ってくれた」

陽向が。

黙った。

「陽向?」

『……そっか』

「うん」

『よかった』

本当に。

そう思っている声。

「嫉妬しない?」

『する』

即答。

「するんだ」

『するよ』

少し。

拗ねた声。

『でも』

「うん」

『俺』

『旦那さんに勝ちたいから』

『美月と結婚するわけじゃないし』

胸が。

きゅっと。

鳴った。

『美月と』

『これから生きたいから』

『結婚したい』

「……うん」

『だから』

少し。

笑う。

『おめでとうって』

『言ってもらえたなら』

『俺も嬉しい』

涙が。

少し。

滲む。

「陽向」

『何?』

「やっぱり」

「陽向でよかった」

電話の向こう。

完全に。

静かになる。

「……陽向?」

『今』

「何?」

『録音したかった』

「やめて」

『もう一回』

「言わない」

『美月!』

笑った。

◇◇◇

その夜。

私は。

左手の指輪を。

外して。

ケースへ。

戻す。

明日は。

撮影。

まだ。

外では。

つけられない。

でも。

不思議と。

寂しくはなかった。

指輪を。

外したら。

婚約が。

消えるわけじゃない。

陽向を。

好きじゃなくなるわけでも。

ない。

子どもたちと。

話せた。

夫だった人とも。

話せた。

誰にも。

何かを。

奪われず。

私も。

何かを。

捨てず。

未来へ。

進める。

「……よし」

私は。

ベッドへ。

入る。

でも。

その頃。

陽向の事務所では。

また。

一つ。

新しい問題が。

持ち上がっていた。

「結婚……?」

陽向の。

マネージャーが。

資料を置く。

「本気で」

「考えてるのか?」

陽向は。

一瞬。

黙った。

そして。

「考えてるんじゃなくて」

真っ直ぐ。

答えた。

「もう」

「プロポーズしました」

「……は?」

「受けてもらいました」

「……」

マネージャーが。

完全に。

固まる。

「ちょっと待て」

「はい」

「この前」

「熱愛報道が出たばっかりだぞ?」

「分かってます」

「お前」

「今」

「トップアイドルだぞ?」

「知ってます」

「じゃあ」

「分かるよな?」

陽向は。

黙って。

相手を見る。

「結婚すれば」

「祝福だけじゃ済まない」

「人気」

「グループ」

「スポンサー」

「ファン」

「全部」

「影響が出る」

「……はい」

「それでも」

「するのか?」

長い。

沈黙。

でも。

陽向の答えは。

変わらなかった。

「します」

「……」

「ただ」

陽向は。

続けた。

「勝手には」

「しません」

「……」

「美月の仕事も」

「俺の仕事も」

「ファンも」

「グループも」

「ちゃんと」

「向き合います」

「……」

「だから」

真っ直ぐ。

言う。

「どうしたら」

「結婚しても」

「全部を」

「できるだけ」

「大事にできるか」

「一緒に」

「考えてください」

マネージャーは。

しばらく。

何も言わなかった。

そして。

深く。

ため息をつく。

「……お前」

「変わったな」

「え?」

「前なら」

「結婚します!」

「以上!」

「みたいに」

「突っ走ってた」

「俺そんなに?」

「そんなに」

陽向は。

少し。

苦笑した。

「美月に」

「教えてもらったんで」

「何を?」

「一人で」

「決めないこと」

マネージャーが。

ゆっくり。

椅子へ。

座る。

「……分かった」

「え?」

「まず」

資料を。

引き寄せる。

「何が問題になるか」

「全部洗い出すぞ」

陽向の。

顔が。

ぱっと。

明るくなる。

「はい!」

「ただし」

「?」

「明日」

「ASTER全員に」

「お前から話せ」

陽向の。

笑顔が。

止まった。

「……全員?」

「当たり前だ」

「結婚は」

「お前一人の仕事じゃない」

「……」

陽向が。

ごくりと。

唾を飲む。

五人の子どもたちに。

会ったとき。

それ以上の。

緊張。

「……マジか」

そして。

私は。

まだ知らなかった。

次に。

陽向が。

結婚を認めてもらわなければならない相手が。

家族でも。

事務所でもなく。

ずっと。

一緒に。

夢を追ってきた。

ASTERの。

四人になることを。