11時過ぎ、もうすぐ深夜0時という頃。
宗介は美風からのメールで、恋が美風の家に遊びに行ったのを知っていた。
To恋
From宗介
帰って来い
樋山と遊ばないよ
To恋
From宗介
早く帰れ
何やってんだよ?
To恋
From宗介
今何時だと思ってる?
後で酷いからね
宗介からのメールが、恋のスマホに溜まっている。
隣の家に大型の車が停まったのを見付けると、宗介はサンダルを突っかけて外へ出てきた。
恋を置いて、美風の車が宗介に気付かずに発車すると、宗介は大声で恋を呼んだ。
「恋!」
宗介はその後すぐに、
「解、恋!」
と声を掛けた。
解、というのは名前を付けて言うと恋が狐の子になる呪文である。
恋は門扉の前でどろん!と狐に変身した。
「ハウス!」
ハウス、と言われると、躾けられた動物の恋は体が動かなくなってしまう。
宗介はゆっくり門を出て来ると狐の恋を首で摘んだ。
「おかえり、恋」
宗介がクスクス浅く笑ったのを、狐の恋は見上げた。
宗介は恋を摘んだまま玄関へ入った。
「解、恋!」
和室に入ると、宗介は恋を畳に置いて声を掛けた。
恋はその呪文を合図に人の姿に戻った。
ゴチン!
宗介は恋の頭にグーにした拳を落とすと、恋を睨みつけた。
「痛た……」
「ばかたれ!。この裏切り者!。毎回毎回お前は……」
ガミガミと説教した後、宗介は、恋を呪文で子狐の姿に戻してから、やっぱり首で摘むと、その日はリビングのケージに入れてしまった。



