夕方。
恋は商店街の本屋に居た。
平積みされた本、背表紙を並べている本の棚。
恋が雑誌コーナーに行くと、偶然美風が雑誌『coco.』を手に取ろうとしている所だった。
「あ」
美風がすぐに気付いて言った。
「新田さん、偶然だね。本見に来たの?」
「うん。本っていうか、書店ブランドのメモ帳を買いに来たんだ。」
「ああ、ここの奴。シンプルで使い易いよね。」
美風は『coco.』を捲った。
美風のたまたま捲ったページでは、綾瀬翔がウインクしているアップがあり、その下にプロフィールとコメントが書かれている。
「新田さんの写真を切り抜くつもりで集めてるんだよ。写真は僕も撮れるけど、推しのつもり。」
「ありがとう」
「いつでもモデルさんにサインを貰えるって思うと不思議な気分。SNSで綾瀬と向井の2人がセットでバズってるけど、男はみんな新田さんのファンだよ。校内でも有名になってる。」
美風はまた『coco.』を捲った。
今度のページでは、クレンジングの仕方についてのトピックで恋がすっぴんで写っている。
恋がレジへ向かおうとすると、美風が恋の袖を引っ張った。
「たまたまついで。」
美風が言った。
「ここ来て良かった。僕のうちへ寄って行って。運転手の車を待たせてあるんだ。良いでしょ?。新田さん歩きだよね?。」
恋は頷いて、2人でレジへ向かった。



