朝。ホームルーム前。
鞄を持った恋が教室に入って、ロッカーに向かうと、ロッカーでは、理央が中の物を整理している所だった。
「あ、恋、おはよう」
理央が気付いて言った。
「理央、おはよう」
「今日早いね。いつもはもっと遅いでしょう?」
「たまたま早起きして、そのまま宗介と登校したんだ。」
「新田さん、駒井、おはよう」
机の方から美風が来て、声を掛けた。
「おはよ、樋山くん」
「おはよう」
「今日は……」
「姫、白王子!」
教室の戸がガラガラと開いて、伊鞠と桂香が入って来た。
伊鞠の手には、雑誌『coco.』があった。
「加納先輩、何しに来たんですか」
恋達が応える前に、席から宗介が来て聞いた。
「碌なことしに来ないんだから。今日は何だって言うんです?」
「今日は、雑誌『coco.』の発売日よ。」
伊鞠が雑誌を振って見せた。
「今回の表紙は、新ブランド『Mint』のモデルさん三人。全身の写真だけど、うーん三人とも顔が小さいわね……新田さん、撮影どうだった?。」
「まあまあでした。」
「見た見た。今回は恋と律と綾瀬くん?だっけ?のインタビューが巻頭にあるんだよね。」
「へえ、新田さん、取材されたの?」
美風が聞くと、恋が頷いた。
「恋、雑誌で余計な事喋るなよ。派手にやると碌な事にならないんだから。あーあ、僕はモデルなんかしないで欲しいのに。」
「ブランドイメージについて、『Mint』の服着て答えてたよね。コンセプトはファンタジーだったけ。『Mint』って白鳥とか星とか花とかの柄が多いんだよね。パステルカラーの。」
「……派手め」
「ばっちりチェックしたわよ。姫は水色の星柄、新星は水色のTシャツに白いベスト、綾瀬くんはピンクの花柄シャツ。みんな美麗でかっこよかったわ。」
「綾瀬って奴、ふざけてだと思うけど恋について僕に当てこすって来てる。」
宗介がしかめっ面で言った。
「関西弁で、しょちゅう恋とどないやねんどないやねんってメールが来る。向井もだけどなんであいつらは恋を名前で呼ぶんだ。アドレス教えなければ良かった。」
「僕には何かモデル的にライバル意識を持ってるとか言って来てる。」
美風が言った。
「なんつーイケメンや、モデルやれちゅうに、とか言って置いて、あかん、あんたはワイとファン層被るきに、とか言って。」
「樋山くん、関西弁うまいね」
「物真似が上手いんだ。そのまま言われた。」
「綾瀬くんが、四角関係の新しい新星になる事はあるのかしら。」
伊鞠が言うと、宗介が怒り笑いした。
「迷惑。樋山と向井だけで充分だ。縁起でもない。」
「モデルのライバルが居るって結構つらいんですよ。付き添いで一緒に行くとはいえモデル繋がりあるし。」
「私達新聞部は、ここ辺りで新キャラが欲しい所なのよ。」
伊鞠が言った。
「黒白王子も一層映える、新しいキャラクターが。綾瀬くんで五角関係になってくれると、新聞部的には超おいしいわ。」
「冗談。……」
宗介が何か言いかけた所で、チャイムが鳴った。



