新しいアパートでの生活が始まってから、俺の毎日は少しずつ変わり始めていた
あんなに退屈だった大学のキャンパスが、ほんの少しだけ、意味のある場所に思えてきた
理由は分かっている
「あ、朔夜くん! おーい!」
昼休み、学食に向かう途中の広い中庭。
新緑の木々の向こうから、聞き慣れた明るい声が響いた
振り返ると、大きなリュックを背負った陽菜が、大きく手を振りながらこちらに走ってくるところだった
「やっぱり朔夜くんだ! 遠くからでもすぐ分かったよ」
「陽菜。今から授業?」
「ううん、午前中で終わり! 今から画材屋さんに行こうと思って。朔夜くんは?」
「俺は、これから学食で適当に済ませようかと……」
「じゃあ一緒に食べよ! 私、購買でパン買ってきちゃうから!」



