あの日、俺は確かにその場で寿命を売った
実家から逃げる大金と引き換えに、自分の残りの時間を差し出したんだ
一千万円の残高は、まだ半分以上残っている。
だけど、俺の命の砂時計は、いよいよ最後の数粒を残すのみとなっているらしかった
「朔夜くん? どうしたの、顔色が真っ青だよ……?」
夕飯の後片付けをしていた陽菜が、俺の異変に気づいて顔を覗き込んできた
俺は慌てて、血のついたティッシュをポケットの奥深くに押し込み、無理やり笑顔を作った
「なんでもない。ちょっと、最近夜更かししすぎただけだ」
「もう、人のこと言えないじゃん! ちゃんと休んでよね?」
陽菜は心配そうに眉を下げながらも、俺の頭をぽんぽんと叩いた
彼女の手のひらは、驚くほど温かかった
夢に向かって命を燃やしている陽菜と、売ってしまった命の終わりを待つだけの俺
二人の体調は、お互いに限界を迎えつつ、すれ違うように悪化していく
神様がいるなら、お願いだ。せめて陽菜の絵が完成するまでは、俺の身体を持ってくれ――
自分の部屋に戻り、一人で激しい目眩に耐えながら、俺はただそれだけを必死に祈っていた。
実家から逃げる大金と引き換えに、自分の残りの時間を差し出したんだ
一千万円の残高は、まだ半分以上残っている。
だけど、俺の命の砂時計は、いよいよ最後の数粒を残すのみとなっているらしかった
「朔夜くん? どうしたの、顔色が真っ青だよ……?」
夕飯の後片付けをしていた陽菜が、俺の異変に気づいて顔を覗き込んできた
俺は慌てて、血のついたティッシュをポケットの奥深くに押し込み、無理やり笑顔を作った
「なんでもない。ちょっと、最近夜更かししすぎただけだ」
「もう、人のこと言えないじゃん! ちゃんと休んでよね?」
陽菜は心配そうに眉を下げながらも、俺の頭をぽんぽんと叩いた
彼女の手のひらは、驚くほど温かかった
夢に向かって命を燃やしている陽菜と、売ってしまった命の終わりを待つだけの俺
二人の体調は、お互いに限界を迎えつつ、すれ違うように悪化していく
神様がいるなら、お願いだ。せめて陽菜の絵が完成するまでは、俺の身体を持ってくれ――
自分の部屋に戻り、一人で激しい目眩に耐えながら、俺はただそれだけを必死に祈っていた。



