それからの日々は、まるで坂道を転がり落ちるように早く過ぎていった
陽菜は秋の大きなコンクールに向けて、寝る間を惜しんで特大のキャンバスに向かい続けていた
大学の講義が終わればすぐにバイトへ行き、夜遅くにアパートに戻ってからは、朝方まで油絵の具の匂いにまみれて絵を描く
そんな過酷な生活をしているはずなのに、俺の前ではいつも、ひまわりみたいな笑顔を崩さなかった
「ほら、朔夜くん! 背景の青空、すごく綺麗に描けたと思わない?」
ある日の夜、俺の部屋で遅い夕飯を食べている時、陽菜はスマホの画面で描きかけの絵を見せてくれた
だけど、画面を持つ彼女の指先は、以前よりもさらに細く、痛々しいほど白くなっていた。
「……陽菜、本当にちゃんと寝てるか? 目の下のクマ、全然治ってないぞ」
「あはは、バレた? でもね、今が一番の頑張り時だから。このコンクールで賞を取れば、私の夢に一歩近づくんだもん!」
陽菜は無理に元気を作って笑う。
その健気な姿を見るたびに、俺の胸は締め付けられるように痛んだ



