僕たちの余命は、一週間で一生分

「陽菜、お前……そんなにバイト詰め込んで大丈夫なのか? 授業だってあるだろ」


「大丈夫、大丈夫! 私、体力だけは自信あるから。ちょっとお金の計算をしたらさ、学費と将来の個展の費用を考えたら、全然お金が足りない気がしちゃって。だからもっともっと頑張らなきゃいけないんだ」


陽菜はそう言って、元気に胸を張ってみせた


彼女にとっては、夢を叶えるためにバイトで身を削ることは、当然の努力なのだ。


そんな陽菜の健気な姿を見ていると、俺は自分の不甲斐なさにたまらない気持ちになっていた


俺が一千万円を持っているのに、彼女は絵の具一本を買うために食費を削っている


このお金をどうにかして、陽菜にバレないように彼女のために使えないだろうか


「……なぁ、陽菜。今日、うちで鍋にするから食っていけよ。材料買いすぎちまってさ」


「えっ、本当に!? やったぁ! ごちそうになります!」


子供みたいに跳び跳ねて喜ぶ陽菜を見て、俺の心の中に、初めて「生きたい」に似た小さな光が灯ったような気がした


自分の命と引き換えにしたお金が、彼女の夢の足しになるなら、俺の無価値な人生にも少しは意味が生まれるかもしれない


冷たいスマホの画面を見つめながら、俺は生まれて初めて、この命の残高を「陽菜のために使いたい」と強く願うのだった。