『付き合ってない、たぶん』上

「……なぁ、またスマホ見てんのかよ」

放課後の教室。

夕暮れのオレンジ色の光が差し込む中、

俺は隣の席で一心不乱に画面をタップしている蓮に、わざと明るい声をかけた。

「……あ、いや。何でもねぇよ」

蓮はハッとしたように顔を上げると、俺と目が合った瞬間、

今までに見たことがないくらいの焦った手つきで、スマートフォンの画面をパッと伏せて机の上に置いた。

そのスピードは、まるで隠さなきゃいけない「何か」があると言っているようなものだった。

(……また、隠した)

胸の奥が、冷たい氷を押し付けられたみたいにキュッと冷たくなる。