『付き合ってない、たぶん』上

「――っ、蓮!」

ミニゲームのホイッスルが鳴り、給水のためにベンチに戻ってきた蓮の元へ、俺はたまらなくなって駆け寄った。

ドリンクボトルを差し出しながら、そのたくましい腕をきゅっと掴む。

「ん? なんだよ春。……あ、さっきのシュート、フォームがちょっと浮いてたぞ。後で合わせてやるから――」

「そうじゃなくて……!」

俺は蓮の言葉を遮り、その切れ長の瞳をまっすぐに見上げた。

掴んだ腕に、少しだけ力を込める。

「蓮……あのさ。最近、何かあった……? なんか、悩んでることとか、俺に隠してることがあるなら、言ってほしい、な……って」

俺の言葉に、蓮の身体が一瞬だけ、目に見えてピクッと強張った。

いつもなら絶対に揺るがないはずのエースの瞳が、ほんのわずかに泳ぐ。

だけどそれも、本当に一瞬のことだった。

「……何でもない」

蓮はすぐにいつものぶっきらぼうな顔に戻ると、フイッと目を逸らし、

ボトルを受け取ってゴクゴクと喉を鳴らした。