『付き合ってない、たぶん』上

ここ数週間、俺の胸の中に居座っているモヤモヤは、日に日に大きくなっていた。

同じクラスだから、授業中も休み時間も、蓮の姿はすぐ近くにある。

昨日だって、スマホの裏のカップルプリを拓海に「おいおい、新学期になってもまだ挟んでんのかよー!」ってイジられて、

蓮はいつも通り「触んな、消すぞ」って低い声で睨みつけていた。

変わらない日常。

変わらない、ぶっきらぼうだけど優しい彼氏。

なのに、ふとした瞬間に目が合うと、蓮は一瞬だけ、見たこともないくらいに切なそうで、

だけど遠くを見据えているような「覚悟」の目をしている。

お弁当を食べている時。

授業中、ふと横を向いた時。

ほんの一瞬だけ、蓮の心が、俺の手の届かないどこか遠い場所に行ってしまっているような気がして、

胸の奥がキュッと冷たくなるのだ。