『付き合ってない、たぶん』上

(……最悪。蓮の隣がよかったなぁ……)

内心、ものすごくガッカリしながら、カバンを網棚にのせる。

周りの奴らから見れば、「席が離れても気にしない、サバサバした男友達」に見えるだろう。

だけど、俺の視線は、どうしても数列前の、蓮の後頭部を追いかけてしまう。

「なぁ、蓮ってさ。今回の合宿、マジで気合い入ってね?」

「わかる。昨日も居残りして、シュート練習してたしな」

隣の部員と、楽しそうにサッカーの話をしている蓮の横顔。

俺が見たことのない、真剣な『部活モード』の顔だった。

(……なんか、遠いな。いつもはあんなにベタベタしてくるのに、離れると、全然こっち見てくれない)

胸の奥が、ちくっと痛む。

自分だけが、蓮の近くにいられなくて、寂しがっているみたいで恥ずかしかった。