『付き合ってない、たぶん』上

『さぁ、撮影が始まるよ!1枚目は……仲良しハグポーズ!』

機械の容赦ないアナウンスが響き、カウントダウンの数字が点滅し始める。

「おい、春、ハグだってよ。どうするんだ」

「ど、どうするって……っ」

狭いブースの中で、蓮が大きな身体をさらに一歩近づけてくる。

付き合う前なら深く考えずにくっついていたはずなのに、

今は蓮のたくましい胸板がすぐ目の前にあるだけで、顔から火が出そうだった。

『3、2、1……パシャ!』

結局、お互いに肩をガチガチに強張らせたまま、証明写真みたいに硬直したハグで1枚目が終わってしまった。

画面に映った自分たちのぎこちなさに、思わずふたりで小さく吹き出す。

「何だよこれ、お前顔真っ赤じゃねぇか」

「蓮だって耳まで赤いクセに!」

少しだけ緊張がほぐれたところで、画面のカウントダウンは止まらない。

『2枚目は……恋人繋ぎポーズ!』

『3枚目は……おでこコツンポーズ!』

「っ、わ、近いって……!」

「動くな、ブレるだろ」

蓮に腰をがっしりと抱き寄せられ、1ミリの隙間もないゼロ距離へ。

付き合ってからの特大糖度が容赦なく俺たちを襲う。

フラッシュが光るたびに、お互いの熱い体温と高鳴る心臓の音が重なって、頭がクラクラしてきた。