『付き合ってない、たぶん』上

付き合う前だって肩を組んだり抱きついたり、距離感バグってベタベタしてたはずなのに、

両想いだと分かった瞬間に『手を繋ぐ』という行為の破壊力が桁違いになっていた。

蓮の手のひらは、驚くほど熱くて、少しだけ震えている。

「……俺、本当に夢かと思った」

蓮がぽつりと呟いた。

低い声が、夜の静けさに心地よく響く。

「春が、俺のこと好きだなんて。……っていうか、本当にお前、俺が拓海を好きだと思ってたのかよ」

「だって……っ、蓮、あの合宿の時『絶対に叶わない相手がいる。無防備で俺のことただの友達としか思ってねぇ』って言ってたじゃん! しかもグラウンドで拓海とベタベタしてたし……」

俺が真っ赤になって抗議すると、蓮は一瞬きょとんとした後、顔を真っ赤にして髪をかきむしった。