『付き合ってない、たぶん』上

文化祭の喧騒が遠ざかった、すっかり暗くなった夜の帰り道。

街灯がぽつぽつと照らすアスファルトの上を、俺と蓮はいつも通りのゼロ距離で並んで歩いていた。

だけど、何かが決定的に違っていた。

「……なぁ、春」

「う、うん?」

蓮がぶっきらぼうに声をかけてくる。

横を向くと、蓮はふいっと目を逸らしながら、だけど大きな手を泳がせるようにして、

俺の右手をきゅっと握りしめてきた。

(ひゃ、ひゃうっ……!?)

心臓が跳ね上がる。