『付き合ってない、たぶん』上

『……え? 蓮の好きな人って、俺……?』

スピーカーから響いた蓮の告白の余韻が、中庭の夕暮れに溶けていく。

全校生徒の絶叫のような歓声が遠くで聞こえる中、俺の頭は、まるで激しいシュートを頭に受けたみたいに真っ白だった。

『絶対に叶わない相手』も、授業に集中できなくなるくらい『無防備で可愛い』って蓮が言っていた相手も、

拓海じゃなくて、全部俺だったんだ。

「……春。何か言えよ、生殺しにすんな」

目の前に立つ蓮は、今にも心臓が口から飛び出しそうなくらい顔を真っ赤にして、

だけど俺を誰にも渡さないと言わんばかりの、必死で強い目を向けている。

(ああ、もう……俺、本当にバカだ……!)

胸の奥を締め付けていたあの苦しい嫉妬が、一瞬で、全部愛おしさに変わっていく。