『付き合ってない、たぶん』上

蓮がマイクを口元に近づける。

スピーカーを通じて、蓮の深く重い声が、学校中に大音量で響き渡った。

「春! 俺が好きなのは、中等部の頃からずっと、お前だけだ!! 俺だけを見てろ!!」

中庭が、一瞬で水を打ったように静まり返った。

そして次の瞬間、鼓膜が破れんばかりの絶叫と歓声が爆発する。

「……え?」

マイクを握ったまま、俺の思考は完全に停止した。

蓮の好きな人は、拓海じゃなくて……俺?

『絶対に叶わない相手』って……俺のことだったの……?

驚愕で立ち尽くす俺の前で、蓮は耳まで真っ赤に染め上げながら、さらに一歩、詰め寄ってきた。