『付き合ってない、たぶん』上

「……っ」

俺は、マイクを握る手がカタカタと震えていた。

隣に立つ蓮の横顔を見る。

蓮もまた、これまでに見たことがないくらい顔を真っ赤にして、唇を噛み締めていた。

(どうしよう……。全校生徒の前で、蓮が拓海に告白するのを見なきゃいけないの? 嫌だ、そんなの耐えられない。……でも、俺だって、今日で幼馴染が終わる覚悟で、蓮に気持ちを伝えるためにここに来たんだ……!)

心臓が爆発しそうなほどの恐怖と嫉妬で、涙がこぼれそうになる。 

その時、沈黙を破ったのは蓮だった。

「……おい、春」

蓮がマイクを通さずに、低い、だけど震える声で俺を呼んだ。

その切れ長の瞳が、まっすぐに俺だけを射抜く。

全校生徒の視線も、拓海のカメラも、もう蓮の目には入っていないみたいだった。

「お前が……お前が、誰を好きでも、もう関係ねぇ。幼馴染が終わっても、明日から口を利いてくれなくなっても、俺はもう限界だ」

「え……?」