『付き合ってない、たぶん』上

「……拓海に、告白するの……?」

その瞬間、蓮の顔が怒りと困惑でこれ以上ないほど獰猛に歪んだ。

「は!? 何言ってんだお前!? なんで俺が拓海なんかに告白しなきゃいけないんだよ!」

蓮は一歩踏み出し、俺の肩をがっしりと掴んだ。

掴まれた部分から、蓮の熱い体温が痛いくらいに伝わってくる。

「……そういうお前こそ、そのマイクは何だよ。お前が……お前が、拓海に告白するんじゃねぇのかよ……!?」

蓮の低い声が、切実な響きを帯びて震えていた。

その切れ長の瞳は、怒っているというより、今にも泣き出しそうなくらい傷ついているように見えた。

「え……? 俺が、拓海に……?」

あまりの急展開に、俺の頭は完全にフリーズする。

お互いにマイクを握りしめたまま、夕暮れのステージ裏で、

二人の「大勘違い」が初めて正面からぶつかり合おうとしていた。