『付き合ってない、たぶん』上

いつもなら試合前のどんな緊張感にも動じないダブルエースの片割れが、

今は完全にパニックを起こしていた。

お互いにマイクを持ったまま、沈黙が流れる。

その時、俺の脳裏に最悪の答えが浮かんだ。

(……待って。なんで蓮が、この【公開告白コーナー】のステージ裏にマイクを持って立ってるの……?)

昼間のギクシャクした空気。

蓮がずっと誰かに片想いしていると言っていたこと。

そして、蓮の隣でベタベタしていた、あの男の姿。

「蓮……お前、もしかして……」

俺は喉の奥がキュッと締め付けられ、消え入りそうな声で呟いた。