『付き合ってない、たぶん』上

授業が始まり、先生がプロジェクターを使うため電気を消した。

部屋が一気に薄暗くなる。

暗闇に紛れて、俺の心臓の音がどんどん大きくなっていく。

ノートを取る蓮の手が動くたび、そのたくましい腕が俺の二の腕に擦れた。

(付き合ってないのに、こんなに密着してていいのかな……。

でも、蓮が拒否しないってことは、嫌じゃないってことだよね……?)

一方その頃、蓮は――。

(……春のやつ、距離感バグるのもいい加減にしろ)

蓮は、前方のスクリーンを睨みつけながら、必死に高鳴る鼓動を隠していた。

暗くなったのをいいことに、春は完全に俺の肩に体重を預けてきている。

サラサラした春の髪が、俺の首筋に当たって、くすぐったくて、たまらない。

(寒いの言い訳にして、こんなに引っついてくるとか……。自覚あんのかよ、これ。

可愛すぎて、授業なんか頭に入んねぇ)