『付き合ってない、たぶん』上

席に座るなり、俺はいつも通り、蓮との距離をゼロにする。

自分の机の椅子を極限まで左に寄せて、蓮の椅子とぴったりくっつけた。

「ん、春。なんか今日、いつもより近くね?」

「えー、そう?だってここ、冷房直撃で寒いんだもん」

嘘だ。

本当は、ただ蓮にベタベタしたいだけ。

言い訳をしながら、蓮のブレザーの袖に自分の肩をすり寄せる。

蓮は「しょうがねえな」と呆れつつも、俺を突き放そうとはしなかった。

むしろ、自分の肩を少し下げて、俺が寄りかかりやすいようにしてくれている。

(……やばい、蓮、めちゃくちゃいい匂いする。体温高くて、あったかい……っ)