『付き合ってない、たぶん』上

パシャ、と、静かな車内に、小さなシャッター音が響く。

「あ、ずるい。俺にも送れよ」

「俺にも!これ、二人が付き合ったときの結婚式のムービーに使うから」

「気が早すぎだろ、凛」

3人が、スマホの画面を囲んで、ひそひそと大盛り上がりしている。

そのカメラのフラッシュのせいか、「……ん……っ」と、蓮の長い睫毛が、ピクリと動いた。

ゆっくりと、切れ長の瞳が開かれる。

最初に視界に入ったのは、自分の胸の中で、すやすやと可愛い寝息を立てている春の頭だった。

(……うわ。俺、いつの間に……)

自分の腕が、春の腰をがっしりホールドしていることに気づき、

蓮の心臓が、ドクン、と大きな音を立てる。

しかも、春の細い腕も、俺の背中に回っていて。

腕の中から伝わってくる、春の、甘くて温かい体温。

離したくない。

このままずっと、こうしていたい。