『付き合ってない、たぶん』上

「おい、次の化学室の授業、座席自由だってよ」

「マジ?じゃあ急がねえと、後ろの席埋まるじゃん」

チャイムが鳴る前の廊下。

移動教室に向かうクラスメイトたちが、足早に階段を駆け上がっていく。

俺も、蓮と並んで視聴覚室へと滑り込んだ。

この学校の自由席の授業は、完全に早い者勝ちのサバイバルだ。

「蓮、後ろ空いてる!」

「おう。じゃあそこにするか」

俺たちは無事に、一番後ろの特等席を確保した。

化学室は、冷房が効いていて少し肌寒い。