『付き合ってない、たぶん』上

すると、凛がニヤニヤしながら、シートから身を乗り出してきた。

「なぁ春、昨日大部屋でさ、恋バナの途中で寝ちゃっただろ。ぶっちゃけ、お前は好きな奴いんの?」

「えっ!?な、何言ってるの……っ」

心臓が、跳ねる。

まさか、付き合いたての二人にそんな直球を投げられるなんて。

でも、ずっと胸に残っていた切ない気持ちが溢れて、俺は、我慢できずに口を開いてしまった。

「……いる、けど。でも、絶対に無理なんだ」

「え、なんで?」

陸と凛が、同時に身を乗り出す。

「だって……その人、他に、深く想ってる人がいるみたいだから。俺のことなんて、ただの友達としか……」

消え入りそうな声で、切ない胸の内を吐き出す。

男友達の俺なんかじゃ、あの人の特別にはなれないんだと、きゅう、と胸が苦しくなる。

しかし、それを聞いた陸と凛は、お互いに顔を見合わせて、今にも吹き出しそうな顔をした。

((それ、100パー春のことじゃん……!))

周りは、すべてを察して悶えそうになっていた。