『付き合ってない、たぶん』上

――だけど。

(……心臓、うるっっっっっっっさ!!!)

俺は必死にポーカーフェイスを維持しながら、心の中で絶叫していた。

さっき拓海に指摘された瞬間、蓮の指先が、俺の制服のシャツ越しにピクッと動いたのだ。

腰に微かに加わった熱。

それだけで、背筋に甘い電流が走る。

(男友達は、こんなに距離近くない! 知ってる! でも離れたくないんだよバカ!)

蓮のシャンプーの匂いが鼻先をかすめるたび、理性が溶けそうになる。

付き合ってない。

付き合えるわけがない。

男同士だし、幼馴染だし。

だけど、俺を見る蓮の切れ長の瞳が優しく細められるたび、俺の心臓は爆発寸前になる。