『付き合ってない、たぶん』上

「――――蓮のバカ野郎っ!!!!! 絶対迎えに来いよーーーっ!!!!!」

俺は、新幹線が去っていったガランとした線路に向かって、喉がちぎれるほどの声を張り上げて叫んだ。

学校を休んでいた数日間の涙も、寂しさも、全部その声に乗せてぶつけるように。

「彼女なんか作れるわけねぇだろバカっ!! ずっと、ずっと待っててやるからな……!!」

そう叫んだ直後、張り詰めていた糸がプツリと切れた。

笑顔を作っていた顔が、一気にボロボロの涙で歪んでいく。

「……っ、う、うあぁ……っ、れん……っ、行っちゃった……本当に行っちゃったよぉ……っ!」

俺はその場に泣き崩れた。

蓮が「本当に行ってしまった」という圧倒的な現実が、今になって胸に突き刺さって、声を出して子供のように大号泣した。

「春……っ」

陸が堪えきれなくなったようにしゃがみ込み、俺の肩を大きな手でガシガシと叩く。

「あいつ、マジで最後まで不器用な真似しやがって……。春、お前は最高にかっこよかったぞ」

拓海がいつも通りの軽いノリを完全に消して、鼻をすすりながら、俺の背中を優しくさすってくれた。

「泣くだけ泣きなよ、春。いつかあいつが戻ってきた時、思いっきり殴ってやるためにね」

凛が静かにハンカチを差し出しながら、俺の頭をそっと撫でてくれる。

中等部からのエスカレーター組の3人の手のひらは、驚くほど温かくて、ひどく切なかった。

(絶対に、待ってる。何年経ったって、いつになったって……俺の隣の特等席は、蓮だけなんだから)

ポケットの中の指輪を強く握りしめながら、俺は3人に囲まれて、夕暮れの新幹線ホームでいつまでも泣き続けた。

お互いに別れを選んだはずなのに、世界で一番強くて、世界で一番優しい『呪い』のような愛の約束を残して。