『付き合ってない、たぶん』上

涙でボロボロになりながら、手紙を開く。

そこには、蓮の無骨な文字で、掠れたインクの跡のなかに、こう書かれていた。

『いつか、絶対に迎えに行く。だけど、それまでに……可愛い彼女でも作っとけ』

(なんなんだよ、バカ蓮……っ! 別れて欲しいなんて言ったくせに、彼女作っとけなんて……そんなの、できるわけないじゃん……っ!!)

あいつは、自分がいつ戻ってこられるか分からない暗闇の世界に行くから。

もし自分を待つことで、俺の10代の、一度きりの眩しい青春がずっと寂しいままで終わってしまうくらいなら。

だから、俺を縛らないように、わざと突き放すような『最低の嘘』を最後の言葉にしたんだ。

自分がどれだけ他の奴に渡したくないか、狂うほどの独占欲を抱えているくせに、

俺のために、そんな残酷な台詞を手紙に残していった。

「う、うあああ……っ! バカ、バカ蓮……! 俺が、蓮以外の誰かを好きになれるわけないだろ……っ!!」

俺は指輪を胸にぎゅっと抱きしめ、声を上げて、子供のように大号泣した。

どれだけ時間が経っても、いつか蓮が迎えに来るその日まで、俺の左手の薬指の特等席は、あいつだけのものだ。

窓の外のひまわりが、夕暮れのオレンジ色に染まっていく。