『付き合ってない、たぶん』上

「おい、蓮。俺ら部室でお前の話聞いたよな? なんで春に『別れて欲しい』なんて勝手に切り出してんだよ!!」

拓海がいつになく低い声で詰め寄る。

「春を傷つけたくないからって、勝手にひとりで背負い込んで、別れるなんて一番傷つける選択肢選んでんじゃねぇよ……!」

陸も、壁に押しつけた蓮の胸ぐらを、さらに強く締め上げた。

3人の、魂の込もった猛烈な問い詰め。

中等部からのエスカレーター組で、誰よりもふたりの『距離感バグ』を近くで見守ってきた親友たちだからこそ、

蓮のその「選択」が絶対に許せなかった。

だが。

「……離せよ」

蓮の喉の奥から、地を這うような、冷徹で、そしてひどく乾いた声が漏れた。