『付き合ってない、たぶん』上

「……春。今まで、色々とスマホ隠したり、怪しい行動して、変な心配かけて悪かった」

「え……?」

「これ、見てくれ」

蓮が画面をタップして俺に差し出す。

そこには、とある「事務所」のロゴと、最終的な決定を示す文字の羅列が並んでいた。

その画面を見つめながら、蓮はぽつりぽつりと、だけど一文字ずつ噛み締めるように言葉を紡ぎ出した。

「……俺、実は昔から、ずっとずっと憧れてるグループがあってさ」

「憧れてる、グループ……?」

「あぁ。サッカーとは別で、中等部の頃からずっと、画面の向こう側のあいつらに憧れてたんだ。……で、親にしか内緒で、ずっとその事務所のオーディションを裏で受けてた。その、……一次も、二次も、全部通ったんだよ。夏休みに、最終審査に行かないといけなくてさ。ちゃんと春に話そうって、最初から決めてたんだ」

「え……っ!?」

液晶画面の文字と、蓮の顔を、俺は何度も何度も交互に見つめた。