『付き合ってない、たぶん』上

あの相談から数日後。

新学期が始まってからずっと胸の奥を重く支配していた、蓮の『異変』。

スマホを頑なに隠す理由。

その答え合わせの瞬間は、ある日の放課後、突然やってきた。

「春。ちょっと、付き合え」部活が終わった後の誰もいない教室。

夕暮れのオレンジ色の光が、机や椅子を長く引き伸ばした影で染め上げている。

蓮はそうぶっきらぼうに言うと、俺を窓際の席へと促した。

(……あ、またあの目だ)

ここ数週間、蓮がふとした瞬間に見せていた、どこか遠くを見つめるような、重い覚悟の宿った瞳。

だけど、今の蓮の目は、何かを必死に隠そうとしていたこれまでとは違って、真っ直ぐに俺だけを捉えていた。

蓮はポケットからスマートフォンを取り出すと、いつもなら画面を伏せて置くはずのそれを、

今日は迷いなく机に置いた。