通りすがりの俺様

「……確かに、ここは将来有望そうなイケメンが多いわ。
 まあ、私はちょっとダメ男なイケメンも好きなんだけど」

 もしかして、水内さんはちょっとダメなイケメンなのでしょうか?
 そんな網代木さんの心の琴線に触れるだなんて、と思ういずるに網代木が吠える。

「でも、たくさんイケメンがいるとしても、手に入れられるのは一人よっ!
 目移りしてる間に全部持ってかれるわ!

 あんたみたいな女にねっ」
といずるは指さされる。

 いや、あの~、といずるは苦笑いしながら言った。

「今、ご自分でおっしゃったじゃないですか。
 手に入れられるのは一人なんで、全部は持っていけないですよ」

「揚げ足取らないっ」
と怒られる。

「先輩の言葉には黙って頷いとくもんよ。
 ほんとうに最近の……」

 はっ、とそこで、網代木は止まった。

「やだ、怖いっ。
 今、私、『最近の若い者は』って言おうとしたわっ。

 この間まで、ピチピチの新人でちやほやされてたのにっ」

「だ、大丈夫ですよ」

「大丈夫。
 私たち、まだまだ新人よ、郁実」
といずるは小野寺と二人がかりで網代木をなだめる。