通りすがりの俺様

 

 家に帰って舌平目の煮付けを作り、買ってきていたお惣菜とでご飯を食べていると、一鷹が出張先から電話してきた。

 突き飛ばされた話を聞いた一鷹は、
「ほら見ろ。
 俺がいないと危ないじゃないか」
と言い出す。

「そうですね。
 犯人は水内さんの姿が見えなかったので、今日ならやれると思ったんでしょうか。

 ……あるいは」

「あるいは?」

「水内さんが犯人だとか」
「いや……なんでだ」

「今、私に何事かあっても、出張している水内さんのアリバイは鉄壁じゃないですか」

「鉄壁すぎて、なにもできないぞっ」

 ここは浜松で、これから上司と一緒に取引先と会食だっ、と叫ばれる。

「第一、お前を殺して、俺になんのいいことがあるんだっ」

「なにか欲しいものが手に入るとか」

「俺の欲しいものはお前だ。
 お前を殺したら手に入らないだろうが」

 ……えっ?