「ここにいたのか」
仕事終わりにいずるがスーパーで買い物をしていると、一鷹がそう言い駆けてきた。
さっき、何処にいるんだとメッセージが入ってきたので、スーパーにいると教えたのだ。
広いスーパーの中を探してウロウロしていたらしい。
勝手なイメージだが、この人スーパーとかあんまり来そうにないんだが、といずるは思う。
「俺が押そう」
いずるが押していたカートを一鷹は押そうとする。
「いえ、カートですから大丈夫ですよ。
重いわけじゃないですし」
「いや、俺が押そう」
……押したいのか、と思い、いずるは手を離した。
ひんやりする鮮魚コーナーを並んで歩きながら、一鷹が訊いてくる。
「なに買いに来たんだ?」
「晩ご飯の材料です」
「今日はお前が当番なのか?」
「なんのです?」
と言いながら、いずるはパック詰めされている魚たちを眺めた。
「食事を作る当番だよ」
「当番というなら、毎日、当番ですよ」
「そうなのか?
他の家族は作らないのか?」
「他の家族は住んでませんよ。
たまに荷物とりに来たり、近くでライブがあったら、泊まったりするけど。
うち、父親の転勤で、他の家族は引っ越しましたから」
なんだってっ?
と一鷹は驚く。



