通りすがりの俺様

「でも、リーダー、そんな風流な名前だったんですね~。
 私がいるとき、本人名義の備品伝票持ってきたことないので知りませんでした」

 名簿で名前を見たことはあったので、へえーと印象には残っていたのだが。

 彼女とその名前が結び付かなかったのだ。

「教えていただきありがとうございます。
 私が名前知らないと知ったら、リーダー……

 網代木さん、キレそうなので」
と言うと、矢端は笑う。

「まあ、愉快な人たちだから、そこそこ気をつけて」
と言われる。

「ありがとうございました」
といずるは頭を下げた。

 矢端も珈琲を買って去っていった。

 晴菜が、
「矢端さん、いいわあ。
 グイグイ来る強引なイケメンもいいけど。

 結婚するのなら、ああいうタイプかも」
と言いながら見送っている。

 そうだね、と言いながら、いずるはちょっと気になっていた。

 矢端さん、いい人なんだけど。

 ……なにかがこう引っかかるというか。

 いや、なにが引っかかるのかはわからないのだが。