通りすがりの俺様

「それがわからないんですよ。
 ……その方こそ、金目当てとかなんですかね?」

「あんたのしょぼいボーナスの?」

「先輩方……もらう前から寂しい気持ちになるので、しょぼいを繰り返さないでください」
と言ったとき、わかったっ! とリーダーが手を打った。

「あんたは実は産業スパイで、それに気づいた誰かに追われてるのよっ。
 それで、水内さんはそれを食い止めようと、心ならずもあんたに近づいたのよっ」

 どうっ?
 サスペンス展開になってきたでしょ?
と言うが。

 いやそれ、問題点がふたつあります。

「あの、私、まだこの会社の重要機密とか知りません。
 あと、私が自分が女スパイであることを知りません」

 そんなやりとりをしているいずるたちを、

 なんか暇な話してるな~という目で、ちょっと離れた位置から矢端が見ていた。